俺たちに明日はある

第一話
(全十一話)

〜出会い〜


ガサガサ・・ガサガサ、深夜3時を回った頃か、あるマンションの下の、
ごみ置き場があさられるような音がした。その音にマンションの住民の
竜崎(18)が気づいた。
竜崎「ったく・・こんな夜中に誰や。」 この男は本編の主人公、名前は豪(ごう)と言った。
竜崎はだるそうに布団から出て、ゆっくりドアーへ歩く。そしてドアーを開けて、
外の様子をうかがった。ガサガサという音はまだ聞こえている。
竜崎「こんな夜中に誰や〜〜!」 自分の部屋、マンションの二階からごみ置き場に向かって叫ぶ。
と、ガサガサという音が急に聞こえなくなった。犯人らしき人物の動く影が見える。
竜崎「(・・ごみ置き場に何しとったんやろ?・・)」 竜崎は不思議がりながら自分の部屋に戻った。
ガチャッ・・ ドアーを開け、また自分の布団に倒れこみ再度睡眠に入る。
ちなみに、この竜崎という男は都内にある雷光高校に通っている高校三年生である。
家族とはある因果関係があり、別居しているのだ。竜崎はこの部屋に一人で暮らしている。
もう時季は3月、高校三年生の竜崎は卒業を迎える事になる。
そしてその夜は何事もなく、夜が明けた。

ーーー次の日ーーー
ジリリリリ。 目覚まし時計の大きな音で竜崎は目を覚ました。
ボリボリ頭をかきながら布団からはい出る竜崎。
時間は朝の7時30分。竜崎はゆっくり登校の支度をする。
10分後、朝の支度を終え、食パンを一枚くわえ。
カバンを肩にかけ、家を出た。
竜崎「んー。昨日のゴミ置き場にいた奴は誰やったんやろな?」
ブツブツ独り言を言いながら、竜崎はマンションの階段を降りる。
マンションを出て、ゴミ置き場の近くにいくと、変な男がゴミ置き場に座っていた。
男は少し茶髪でなかなか男前だった。
竜崎はゴミ置き場でピタッと足を止めた。その不審な男に気づいたのだ、
竜崎「昨日、ここ荒らしてたん、お前か?」 竜崎は真剣な表情だ。
と、その男は低いトーンで答えた。
五十嵐「あぁ、そうだけど、何か文句ある?」 その男の名前は、
五十嵐(24)といった。
竜崎「昨日なぁ、せっかく熟睡しとったのに、お前が出した音で起きたんや!
    一体こんなとこで何してんねん!!」
竜崎の大声に、五十嵐は少し驚いたようなそぶりを見せた。五十嵐は答える。
五十嵐「仕事がなくなったんだよ。寝るとこねーからここで寝てたんだ。ここの壁とか風除けになるしな。」
コンコン、そう言って五十嵐はゴミ置き場の壁を手で叩いて見せた。
竜崎「ったく・・プー太郎かよ。寝るとこねーんなら、親んとこ行けよ。」
と、その言葉に反応し、五十嵐は立って竜崎の胸倉をつかんだ。
五十嵐「生意気な口聞くんじゃねぇよ。親?親なんて信用できねーんだよ。」
その言葉に竜崎も反応した、胸倉をつかんでる手を払いのけ、竜崎は口を開ける。
竜崎「親と何かあったんか?あんた・・俺と似てんな。」
五十嵐は黙ったまま、近くにあるバッグを肩にかけ・・もくもくとどこかへ行ってしまった。
竜崎「・・・何やねん。あいつ・・あ!そうそう学校行かなあかんねん!」

一方、五十嵐は・・・・
五十嵐「(ったくあのガキ。生意気な口聞きやがって・・・あいつ高校生か?制服着てたよな・・)」
五十嵐は考え事をしながら、商店街の道を歩いた。バイト先を探しているのだ。
実は、五十嵐・・昔、刑事をやってたのだ。しかし、大事な事件で他の刑事がミスを起こした。
そのミスを無理矢理押し付けられ、五十嵐はそいつの代わりにクビになったのだ。
ちなみに、その事件とは家族内殺人で、夫が妻を殺したという残忍な事件だった。
犯人を取り押さえる時、その刑事があるミスを犯し、逃げられたのだ。そのミスを五十嵐が押し付けられたのだ。
話を元に戻そう。五十嵐は一件のコンビニの前で足を止めた。
五十嵐「(・・・・・・・・・・ここでいいか。)」 五十嵐は少し笑いながらコンビニに入る。
数分後、五十嵐はふてくされた表情でコンビニから出てきた。手の中にはしわくちゃになった千円札が入っていた。
五十嵐「なんだよぉ・・不採用かよ。元警察なのに・・こんのクソコンビニがぁ!!」
その後も五十嵐はいろいろなバイト先を探していた。

一方、竜崎はーーー
授業を終え、校門から出ようとしていた。
と、校門の周りに他校生らしき不良が集まっていた。
竜崎「ひゅー・・何や。あいつら。」 竜崎は眉間にしわをよせ、校門へ向かった。
竜崎が校門から出ようとした時、その不良の一人が竜崎の肩をつかんだ。
西島「おい・・お前が竜崎か・・俺は
羅蛇(らじゃ)高校の西島っちゅうもんじゃ。」
竜崎は黙ったまま、肩に置かれた手を払った。
と・・その時、校門付近を偶然、五十嵐が通った。五十嵐は竜崎に気づいたようだ。
五十嵐「(あ・・あいつ!朝の・・ここの高校に通ってたのか・・くくく。ざまぁねぇな。からまれてるよ。)」
五十嵐はニヤニヤしながら、竜崎と西崎のやりとりを楽しんでいた。竜崎も五十嵐に気づいた。
竜崎「あいつ・・朝の・・・」 竜崎が五十嵐に目を合わせた時、西島の大声と拳が竜崎を襲う。
ブンッ!! バゴォ! 西島の拳は竜崎の顔面に炸裂した。竜崎はその場に倒れこむ。
西島「よそ見しとんちゃうぞぉ・・前にお前、俺のツレ・・可愛がってくれたそうやん。お返しするわ〜。」
4日前か、竜崎は羅蛇高校の不良一人をボコボコにしたのだ。勿論先に手を出したのは羅蛇高校の方だ。
多分、その仕返しに西崎はここに来たのだろう。・・・
倒れた竜崎の姿を見て、五十嵐は手を叩いて笑っている。
竜崎の耳にその笑い声が聞こえる。竜崎は即座にその場に立ち、西島の腹目掛け、パンチを打ち込む。
ドグゥゥッ! ボディに入った。西島の顔色が変わる。パンチの入った腹を押さえて、もがいている。
竜崎「うっせぇよ。」 ボグッ! もがいている西島目掛け追打ちのキックをくらわす。
西島はその場に倒れこみ、動かなくなった。その瞬間に、一緒にいた不良共は即座に姿を消した。
竜崎「ふん・・こいついなきゃ何もできへんのか。」 竜崎はしかめっ面のまま校門を出た。
自分の家に向かって歩く竜崎。その後ろには何故か五十嵐がついてきていた。
竜崎「おーい、何ついてきとんねん。」 竜崎は帰り道の途中、クルッと後ろを振り返った。
五十嵐はニコニコしながら竜崎の下へ走っていく、そして小さな声で喋る。
五十嵐「ははは〜。寝るとこ無いんだよね〜。」 竜崎は五十嵐を睨みつけ、返事をする。
竜崎「俺の部屋には入れへんぞ。」 そう言うと竜崎は再度振り返り、家へと向かってダッシュした。
五十嵐もダッシュで竜崎を追いかけた。

結局、竜崎はあまりにしつこい五十嵐を家に入れる事にした。
竜崎「・・今日だけやからな。」 五十嵐は竜崎のベッドに倒れこんでいた。
五十嵐「ケチケチすんなよ!仲良くやろうぜ〜!!」
五十嵐は子供のように、ベッドではしゃいで見せた。竜崎は少し呆れ気味の表情で五十嵐を見る。
竜崎は制服をハンガーにかけ、私服に着替えてから、ベッドに近くの椅子に座った。
五十嵐「お前、名前なんていうん?俺は五十嵐大介(だいすけ)っつうんだ。」
五十嵐はベッドに正座して、竜崎に話し掛けた。竜崎はため息を一つして、質問に答える。
竜崎「俺の名前は、竜崎豪・・本当に今日だけやからな。」
竜崎はそう言うと、冷蔵庫の方に歩いていき、冷蔵庫から出した牛乳パックをいっき飲みした。
五十嵐は首の裏を掻いて、ベッドに倒れこんだ。と、今度は竜崎が切り出した。
竜崎「あんた、何で仕事してないん?もう大の大人やろ?・・」
五十嵐「あんたじゃねぇ、五十嵐大介だ。ちょっとした事情があんだよ、お前には関係無い。」
五十嵐はあくびをしながら答えた。竜崎もそれにつけ加える。
竜崎「お前じゃない。竜崎豪や!事情くらい言えよ、俺の部屋にいんねんから、事情くらい教えてもええやろ。」
五十嵐は少し考えてから、自分の経歴を分かりやすく話した。刑事を首になった話もだ。
竜崎「・・ふぅん。無理矢理ミスを押し付けられ・・か、警察も大変やな。まだ若いのに・・」
竜崎は黙って、缶ジュースを五十嵐に投げた。五十嵐はそれを難なくキャッチした。
五十嵐「サンキュ。」 プシュッといい音を立てて、缶の口が開かれた。
竜崎は部屋の窓を開けた。そして外を見つめる。
五十嵐は缶ジュースを飲みながら、その外を眺める竜崎を見つめた。
五十嵐「・・案外優しいんだな。朝とは大違いだわ。」
竜崎「ふん、誉めても無駄やで、明日には帰ってもらうからな。」
竜崎はニコッと笑って言った。

ーーー夜はふけたーーー
先に目覚めたのは、五十嵐だった。五十嵐は目をこすりながら小さな布団から体を出した。
ふわー、と大きなあくびをしながら、五十嵐はトイレに向かった。
と、竜崎も五十嵐の動く気配にかられ、目を覚ました。
首のまわりを掻きながら竜崎もトイレに向かう。中には五十嵐が入ってる。
竜崎「おーい、この家の主に先にトイレをさせ〜!!」
竜崎はトイレのドアーをドンドン叩きながら言った。
五十嵐「かかかか。わかったよ。」 五十嵐は小便を済まし、急いでトイレから出てきた。
竜崎は無言のまま無人のトイレに入る。五十嵐はパンツのままだった。
五十嵐「ったくよぉ・・」 五十嵐はゆっくりズボンをはき、食卓へ向かう。
ブツブツ何かを言いながら冷蔵庫を勝手に開け、中から焼きそばパンを取りだす。
ジャー。 ちょうどその時、水の流れる音と共に竜崎がトイレから出てきた。
竜崎「おい!!五十嵐!何勝手に人の冷蔵庫、開けてんだよ!!」
竜崎は五十嵐に飛びつき、焼きそばパンをブン取った。
竜崎「ったく!これは俺の朝飯やぞ!ずうずうしいなぁ!朝飯まで何で俺があげナあかんねん!」
竜崎は五十嵐を睨みつけながら焼きそばパンの袋を開け、パンを食べる。
五十嵐はふてくされた表情で竜崎を見つめる。竜崎はパンを食べながらどなった!
竜崎「俺はあとちょっとで学校行かなあかんねん!!俺と一緒に外出たらもうサヨナラやぞ!!」
五十嵐は黙って、外に出る準備を始める。竜崎は黙ったままパンを食べ終えた。

ーーー30分後ーーー
ギィ・・竜崎の部屋のドアーが開かれる。ドアーから出てきたのは、制服に着替えた竜崎と五十嵐だ。
五十嵐「ほんじゃ、有難うな。俺はまたバイト探すわ!」 そう言って五十嵐はダッシュでマンションの階段を駆け下りた。
竜崎はドアーに鍵をかけながら、五十嵐の後姿を見つめた。
竜崎「変な奴・・・」

五十嵐は、再度バイト探しに。竜崎は学校へと向かった。
・・・・・・・・・・
・・・・

時間は経ち、昼の3時半になった。竜崎の高校は放課後の時間となる。クラブに入っていない竜崎は、
いつものように真っ先に家に向かう。と・・また校門に何人かの不良がいた。
竜崎「またか・・昨日の西崎って奴もおんぞ・・あいつらもしつこいな〜・・・」
竜崎は昨日のように眉間にしわをよせ、不良の下へ向かう。
竜崎は不良たちの前で、ピタリと足を止めた。それと同時に西島が口を開けた。
西島「ちょっと付き合ってもらおか。俺の後についてこいや、逃げんなよ!」
そう言うと、西島とその他の不良が校門を出て、竜崎の家と反対方向の道へと歩き出した。
竜崎は黙ったまま、西島の軍団についていく。大分歩いた。狭い小さな路地に入っていく西島達。
竜崎もそれについていく、狭い路地で西島は足を止めた。
西島がドンと横の壁を蹴った瞬間に、竜崎の背中に衝撃が走った。
竜崎はガハッと倒れこむ。後ろを見ると、後ろには数人の不良がバットを持って立っている。
そう、さらに竜崎を追いかけていた不良がいたのだ。竜崎はその不良達に気づいてなかったのだ。
竜崎「汚ねぇなぁ・・」 竜崎は倒れこんだまま西島を睨んだ。
西島は黙ったまま竜崎の背中をおもいきり踏んづける。竜崎は大声をあげる。
西島「かかか。昨日はよぉやってくれたなぁ・・」 ボゴッ! 西島はかがんで、竜崎の顔面を殴る。
そして西島は竜崎の制服をひっぱり、大きい路地に竜崎を連れて行く。
大きな路地に出た瞬間に再度バットが竜崎の背中に当たった。
竜崎「がぁっ!!」 竜崎は地面に叩きつけられる。
不良に囲まれて、竜崎は通行人から見えなくなっていた。
西島「喧嘩に汚いもなんもないからな〜!」 西島はニヤニヤしながら竜崎の腹を思い切り蹴った。
ドグッ! 倒れた竜崎が一瞬宙に浮く。と、その瞬間に竜崎の目にある男の姿が映った。
その男は少し茶髪で男前の男だった。その男は黙って不良達の中に入り、竜崎に手を差し伸べる。
五十嵐「さっ、行こうぜ。」 男は黙ってその一言だけ発した。
西島は黙っていなかった。五十嵐の胸倉をつかみ、五十嵐に殴りかかった。
五十嵐「こっちはバイトが決まんねーからイライラしてんだよぉぉ!!」
ドゴォ! 西島のパンチより、五十嵐のキックの方が速かった。五十嵐のひざが西島のみぞおちに刺さる。
西島「ぐはっ・・」 腹を押さえている西島の顔面に五十嵐は追撃のパンチを与える。
西島は地面に倒れこみ。昨日のように動かなくなった。
すると、バットを持った男たちが五十嵐に殴りかかる。その時、竜崎の意識は無くなった。

ーーーー気がつくと、竜崎は自分の部屋にいた。ベッドに寝ているのだ。
ハッと辺りを見回すと、食卓の椅子に、ボロボロになった五十嵐が座っていた。
五十嵐「おい、竜崎!風呂借りていいか?」

続く


この物語はフィクションで出てくる人物等は架空のものです。


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